オーストラリア自転車で大陸横断 〜ナラボー平原越え〜
4日目 1999年4月20日
いつも朝方、寒くなり目が覚めるが、今日は暖かい目覚めだった。テントを出てみると、雲が空を覆っていた。
いつも、放射冷却で寒くなっていたのだろう。 「今日は昼間も曇りで良いよ」と思いながら朝食にした。
まさか雨が待ち構えているとは、この時は知らなかった・・・。
準備体操をし、お世話になった僕だけの野宿ポイントとはおさらばし、曇り空の下、ペダルをこぎ始めた。
今日のメインイベントは、自転車大陸横断で最後の州に突入することだ。
今まで、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ACT首都特別地域、ビクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州と駆け抜けてきた。
やはり州越えは、ひとつの節目、milestoneの様な物なので、嬉しいものだ。
南オーストラリア州と西オーストラリア州の州境 Border Village には、10:40頃に着いた。
ランチは次の12km先のEuclaでと思い、記念写真だけ撮り、州境にあるゲートへ。
自転車で走って行くと、ゲートで女性の係員に止められた。
オーストラリアでは場所にもよるが、州の移動でも農業や畜産業に害のある物の拡散を防ぐ為、検疫があるのだ。
ここでは、すべての生野菜やハチミツ等が没収の対象になっている。
係員から、「生鮮食品等持込はないか?」 と、聞かれると分かっていた。そして、ちょっと位カバンを開けられるだろうと覚悟していた。
けど、今にも雨が降りそうだったので、向こうの言葉より前に、「今日、雨は降るの?」と聞いてみた。
そしたら、「Next 3 Days」と。
「えーーまじでーー」 まさか、そんな答えが返ってくるとは思わず、本当にびびってしまった。
「ずっとじゃないけど、たまにネ」とさらに言われたが、びっくりの方が大きくて、耳から耳へ抜けていった。
まさか、一種の砂漠と思っていたナラボー平原のど真ん中で雨に会うとは…。
その後、野菜や蜂蜜等、持込禁止品を書かれた紙を見せられて、「何か持っている?」と、聞かれた。
実はこの検疫の事は、アデレードで出会った日本人ライダー・金パチさんから、
「貢物(差し出す物)を持っていた方が良い。そして、後はカバンの下に入れていたら大丈夫」と、アドバイスを貰っていた。
俺は小さいハチミツを貢物と決め、フロントバックに入れておき、
ナラボー越えの為に重要な食料であるジャガイモ、にんじん、玉ねぎはかばんの下の方に、今日旅立つ前に入れておいたのだ。
辺境の地を旅するチャリダーという事もあってか、係員の女性は友好的な感じを受ける。
これは貢物を出さなくても、通過出来そうだと思った。
けど、「何も無い」と言った瞬間、「じゃあ、チェックするので、かばん開けてください」と、急変されても嫌だ。
へたしたら、取られてほしくない野菜まで被害にあうと思い、素直に「アッ!持ってます」と返事した。
「こんな検疫があるのだ。知らなかったよ。」と言った雰囲気を醸し出し、役者張りの返事と共に、ハチミツをカバンから取り出し渡した。
女性の係員は、貢物を受け取る。友好的な感じのままだ。 「garlicとかonionもってない?」とさらに聞かれた。
「やべぇ・・・ ビンゴ!玉ねぎは、まさに持ってるよ」と思った。
けど、英語で話をすると、頭にdirectに入ってこず、訳されて頭に入るので、他人事の様に感じながら「持ってません」と表情を変えずに返事が出来た。
「じゃあ、気をつけて!」と、女性係員に言われ、無事Western Australiaに入る事が出来た。
ゲートを出た瞬間、ポツポツと雨が降って来た。
「アー これから、3日間雨と友達か。
タスマニアで散々雨にあたったから、慣れているけど…、
エスペランスは、rain seasonだから、覚悟していたけど…
まさか、乾燥の大地、ナラボーで・・・」と思い、上着だけrain coatを着て、12km先を急いだ。
一応、5分程で止んだが、いつ降り出してもおかしくない雲行きだった。
Eucla でランチにした。今日からランチのパンが無い。昨日でcedunaから持ってきていたパンは食べ尽くしたのだ。
ひとまず、今日はRoad houseのtake awayにお世話になる事にした。
そこで、ランチをしていると、日本人か???という人が歩いて近づいて来た。
「何とかチン?」って、聞いてきたので、「おー!タコチン!」と、答えた。 やはり日本人だ。こんな辺境の地にまで・・・
話してみると、彼が、昨日ナラボーであったチャリダーhideが言ってた、1日前に会った同じ西に向かっている日本人チャリダーだったのだ。
彼の名は、フミと言うらしい。
彼は、1月にブリスベンを出て、ほぼ僕と同じルートを走り、今同じ所にいて、同じ様にパースを目指しているそうだ。
僕は、11月にブリスベンを出たのだから、彼の方がペースが早い。
けど、1つだけ自慢に思ったのが、彼は、4月3日にAdelaideを出たと言っているのだ。俺は4月9日。
そう!Adelaideを出てから、俺は一般的、本来のチャリダーよりもハイペースで走っていると言うことなのだ。
11月10日のブリスベン出発から、ナラボーに着くまで5ヶ月かかったが、人並み以上に早く走れるまで成長出来たのが嬉しい。
彼はEuclaで1日休息日の様なので、今日予定通り Mudrabilla まで行ったとすると、65km分advantageをもらった事になる。
NorsemanかEsperanceで又、再会するかな。と思って別れた。
そう、まさか、この時、フミとその後、旅の仲間になるとは思ってもいなかった。
西オーストラリア州に入って、道が変わった。
南オーストラリア州はナラボーの道がとても狭かったが、ここは普通の道と同じで、十分な路側帯があるのだ。
しかし、アスファルトの質が悪い。親指の爪位の石を固めたアスファルトで、しかもタイヤのよく通る所にゴムを流し込んでいないので、
抵抗が大きいのだ。走るのにかなり力がいるし、すぐスピードが落ちる。
おまけに、ここだけかもしれないけど、道路にラインの引かれていない所がやたら長い。20-30kmはあった。
あと、次のroad houseまでの表示(杭に書いてある表示)が10km毎なのだ。(南オーストラリア州は5km毎だった。)
同じ国なのに、道路がここまで変わると、別の国の道路を走っている気がする。
時差もあり45分遅れるのだけど、Norseman に行くと、又45分遅らせなくてはならず、生活のリズムが狂ってしまうので、ひとまず時計は変えないでおこう。
よって明日は、南オーストラリア時間の6:30に起床。
※ 南オーストラリア州と西オーストラリア州では1時間半の時差がある。
しかし、その差が大きい為、又、西オーストラリアでも、最も東に位置する場所と言う事もあり、
州境から、Norsemanまでは、2つの州の中間の時間を採用している
(南オーストラリア州時間より45分遅く、西オーストラリア州時間より45分早い)
Mundrabilla Roadhouse の caravan parkでcampfireを作って飯を作った。
下唇が日焼けし過ぎでやけどしているので、熱いチーズパスタがあたると、めちゃ熱かった。
2005年8月14日
KAPPA 編集