オーストラリア自転車で大陸横断 〜ナラボー平原越え〜

3日目 1999年4月19日

ナラボー平原の中の、本来の狭義のナラボー平原にいる。
Nullarbor PLAIN(hotel/motel)で朝日を迎えた。地平線を360度見渡せる中で、空がグラデーションの様に
明るく変化していきながらの大パノラマの日の出は非常に美しかった。

いつも通り、準備を整え出発。
5分も走らないうちに、パース方向から赤いフリースを着たチャリダーがやって来た。
「さー走り始めるぞ!」と気合を入れた直後だったので、タイミングが悪いが、けど、こんな果ての地でチャリダーに会えるのは
嬉しい。近づくに連れて、「どうやらアジア人か?」と思い、まもなく目の前に来た。日本人チャリダーだ。

俺を見ての第一声に、「タコチン?」と言ってきた。
僕は、アデレードで、その名を命名され、その後、その名前で通していたのだ。
ありがたいもので、変なニックネームは簡単に覚えてもらえる。

どうやら、アデレードのバックパッカー・ラックサッカーズで一緒だった、バイク乗り・KLEのトム君と、旅の途中で会ったらしい。
彼の名は、hide。
本当は、ゆっくり話をしたかったが、朝一でそれぞれ先を目指さなくてはいけないので、5分程で別れを告げた。

Nullarbor Hotel/Motel から、2km走った所で、「ナラボー平原西の果て」と、標識が出てきた。
昨日の最後に、東の果てがあって、もう西の果てである。
「おーい、どないなっとーねん。もう、終わりかーー。
俺はこの、ほんの30km程のために、ここを走りに来たんか!?」と、思わず、ナラボー平原につっこみを入れていた。
Treeless Plain(全く木が無い)という意味での、西の果てと言う意味だろうか?
けど、その後も、ほとんど、あるいは全く木のない平原がひたすら続いた。


ナラボー平原越えの目玉スポットの1つに、断崖絶壁の大陸の果てを見る事が出来るスポットがある。
2つ目のlookoutが1番良いと聞いていたので、74km先のlookoutでのlunchを目指して午前中走った。
2つ目のlookoutの直前、cedunaで海を見て以来、久しぶりに水平線が見えてきた。
「おっ!本当、海の近くを走っている!」そして、lookoutの表示が出てきたので、左折。 4.500m程走り、lookoutに到着。
目の前には、南氷洋が広がっている。そして、横を見ると、断崖絶壁が続いているではないか。
柵も何もなく、絶壁の横まで行けるので、寄って下を覗いて見る。はるか下に波が打ち寄せている。これは高い。
ビクトリア州のGreat Ocean Roadで見た断崖より幾分高い気がする。
ここで、素晴らしい景色を見ながら、lunchをした。(といっても、パンの残りを水と一緒に食べるという、質素なメシだが・・・ しかも、今回でパンもなくなった。、これから、lunchはどうしよう…)
しかし、ナラボー平原って言うのは、不思議だなー。高い木が生えていないし、海との接点は絶壁になっている。
小さい草や腰までの高さの木なら、はえているのに。


この、3日間、毎日7時間以上走っている。結構、hardだ。明日も7時間。
「ずっとこぎ続ける」のは、体力的にはもちろんだが、精神的にもしんどい。
きっと、ナラボー平原で、他に何もする事が無いのと、オーストラリア大陸横断と言う夢の為、こげ続けれるのだと思う。
他人の為だったり、別に止めても良いのだったら、とっくに止めているだろう。


今日は、出発の段階から、野宿と決めていたので、水は、2Lの牛乳パックに3つ、
1.6L、1.5L、0.6Lのペットボトルにそれぞれ水(計9,7L)を入れ出発した。
今日の目標地点(野宿予定ポイント)まで、あと10kmまで近づいてきた所で、頭がフラフラしてきた。
Port Augustaを出てから、1日の走行距離が増えているので、通常の3食だけでは、エネルギーが足りなくなっているのだろう。ミューズリーを食べて、その場をしのいだ。
その後走って、目標地点の休憩用に作られたParkingに着き、奥に入っていき、テントポイントを探していると、
道路から盛り土と低木で遮られる所があり、campfireの跡もあったので、そこでテントを張ることにした。

ガスストーブが壊れているので、ナラボー越えでの唯一の調理手段は焚き火である。
その焚き火の為に必要な木は、Treelessなので集められるだろうか?
心配していたcampfireの木だが、小さい枝は何とか手に入ったので、それをいっぱい集めて、campfireにして、飯を作った。





真夜中寝ていると、「カタカタ」とビニールの音がするのに気がつき目が覚めた。
今日は、休憩用に作られた駐車場から中に入ってのブッシュキャンプ。
「駐車場に車を止めている内に、誰かが、bushcampしている僕のテントに気がついて、襲おうとしているのではないか・・・」
不安が襲う。
こういったナラボー平原の様な場所では、野生動物や爬虫類よりも人間の方が危険だから、注意するように。と、アドバイスを受けていたのだ。

神経が、物音に集中される。
「人の声は聞こえるか?」
「エンジン音は聞こえるか?」

襲われたら、全ての物をおいて、とにかく逃げよう。
そんな事を考えながら、たまらず、テントを開ける。

何処にも人影は無い。
ふと、下を見てみると、親指くらいの、ねずみかなー!? テントの周りをうろちょろ。
昨夜、dingoにやられたで、今夜はポテトや玉ねぎ、夕食の残りの入っている鍋は、テントの中に入れていた。
たまたま外においていた、ミューズリーの空袋をいじったりしていたようだ。

何はともあれ、人間が襲いに来たのではないので良かった。




2005年8月7日
KAPPA 編集